From a Corner of Somewhere

ユーラシアを北から南まで旅した記録 日本語と英語で書いてます。 Traveling From the North to the South of Eurasia

No.2 道々、寄り道、回り道。

 境港のフェリーターミナルには夕暮れ前に到着した。ここから出る船は日本の境港と韓国の東海、そしてロシアのウラジオストクをつないでいる。かつては横浜や新潟、富山からロシアへ向かう定期船もあったが、現在はこの船と、稚内とサハリンをつなぐ夏季限定の定期船を残すのみだ。他にも韓国や中国、台湾への貨客船もあったが、大半は廃止されてしまった。日本から外国にいく場合、豪華客船に乗るというならいざ知らず、安価で利用できるLCCが世界中に普及した昨今において、わざわざ船で海外に行くなんてのは暇人のすることだ。友人に旅の話をするときに船を使う理由として、「その方がロマンがあるから」とよく分からないことを適当に言っていた。つまりは特に理由なんてないのだ。

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 この境港までは飛行機を使えば新潟からすぐに行けるのだが、わざと日本各地を寄り道して友人たちに会ってきた。新潟から東京、川崎、京都、岡山、広島、松江を通って境港へ。前の会社の同期や東京に越してきてから仲良くなった人、フィリピン留学時の友人や大学のサークルの友達、旅先で会ったご夫婦。何人かは会うのが数年ぶりであったが、みな暖かく迎えてくれた。これが今生の別れなどとは更々思ってはいないが、歳をとるにつれて友人たちと合う機会は減っていく。特に自分の生活圏から離れた友人ともなれば、何か理由がなければもう合うこともないかもしれない。彼らとお酒を交えて話していると、自分の人生をプレイバックしているように思えて少しだけ感傷的になってしまった。

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 これから結婚を迎える人、子供とともに家庭を築いている人、海外にチャンスを求めて飛び出そうとしている人、仕事やコミュニティの中で大きな目標に向けて懸命になっている人。それぞれの未来に向けて今を生きている。僕はといえば、少し道から逸れて何だかよく分からない方向を目指している。みな「よく決断したね」と言ってくれるが、多分それは重要なことではない。定年まで勤め上げて安穏な日々を過ごして行くことも素晴らしい生き方だ。重要なのは、その決断が間違いではなかったということを、自分自身に思いこませてしまうほどに生きていくことではないだろうか。

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 出航の時間が近づくと、デッキには多くの人が集まってきた。僕と同じく赤く染まりつつある日本海を眺めている。耳に入ってくるのは韓国語とロシア語の響きばかりではあるが、船上では不思議と一体感を感じる。船は定刻の19時ちょうどに出航した。港から僕の知らない誰かが僕の知らない誰かに手を振っている。僕も彼らに合わせて心の中で手を振ってみた。また逢う日まで、逢える時まで。

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